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November 5, 2014
天の戸・森谷康市杜氏の田圃
収穫前の天の戸・美山錦田圃 photo 森谷康市杜氏
これから発売になる「日本酒手帖」ですが、編集するにあたって酒米の田圃がよく伝わる写真を探しました。一番田圃のいいところを撮影できるのは、育てている本人でしかありえません。しかも、写真が上手となると非常に限られます。
この人は!と見込んだのは、「天の戸」醸造元・浅舞酒造の森谷康市杜氏。お願いしたところ、それは素晴らしい写真をお持ちでした。杜氏の田圃の酒米は「美山錦」です。
以前、杜氏がぶどう畑で「おいしいものができる畑は美しい」と。酒米の田圃もそうなのだと染み入る写真ばかり。緑色の文字は森谷杜氏にいただいたコメントです。おいしい日本酒の背景には、こんな感動的な田圃があるのです。
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天の戸・森谷杜氏の田圃
Gallery
この風景をビンにつめたいと思います。
春は一面が水鏡。奥羽山脈に端を発する皆瀬・成瀬の川は横手盆地に沃野を生み、広大な田んぼをうるおします。
そして、その川の一部が伏流水となって蔵の近くに仕込み水となる湧水群をつくります。
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慣行栽培の半分まで農薬を減らし化学肥料も極力減らした「特別栽培米」。
少しずつ虫が増えました。少しずつタニシが増えました。
明け方、細かい霧をまとったクモの巣が逆光に浮かび上がります。
そろそろタニシを食べにカラスやサギがやってくる頃。
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稲は雨が降ろうと風が吹こうと受粉します。
それは「もみがら」というカプセルのなかでの交配となるからです。
われわれが稲の花と思っているのは受粉の役目を終えた雄しべが「受粉完了しました」の合図に出てきたところを見ているんですね。
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秋に靄のかかる土地は良い米ができるとききました。
雨がふらなくてもこの露が稲の穂を保湿し、稲の枯れ上がりを防いで稔実を高めます。
コロコロした厚みのある酒米ができます。
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雨が降ると葉を広げます。風が吹くと根をしっかり張ろうとします。
お天道さまが照らない日もしっかり仕事をしています。
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酒米は一般に大柄な稲が多いです。
その体についた茎だから太いはず。
でも米が充実してくるとその重みで太い茎をしならせます。
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酒米・美山錦
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撮影すべて浅舞酒造・杜氏 森谷康市さん
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